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2014.07.19 写真と動画追加

試運転しよう

勾配の確認が試運転の一番の目的

土台が出来てしまえば、あとは楽しい作業しか残っていません。
試運転です。

レールを敷いて一通り列車を走らせてみます。
メルクリンの場合には走らないということはほぼないので、念のために確認する程度で済みますから、ほとんど遊んでいるのと同じです。

特に確認する点は勾配です。
そういう意味では勾配がなければ確認することはほぼありません。
鉄道模型にとって勾配はかなりデリケートな区間です。上手に調整しないと、全列車が滑らかに走ることができない場合もあります。

試運転と調整の9割は勾配です。勾配についてはいくつかの調整ポイントがあります。
まず大事なのは、勾配は通過する列車の編成によって最適化が必要で、画一的にこういう坂道にしたら良いという条件が決まらないという点です。
4両程度の短い編成しか走らないレイアウトなら、多少無理があっても傾斜率が一律でも良いのですが、5両以上の編成が通過するのなら、考慮しなくてはならないことがあります。

鉄道は車輪の摩擦係数が低いため、坂道には弱いです。現実の鉄道でも勾配は難所ばかりです。
一般的に鉄道模型では勾配の傾斜率は5%以下に抑えることとされています。5%というのは、1m進んで5cmの高低差ができる傾斜率という意味です。
これは現実の鉄道ではあり得ない急坂なので、模型はかなりがんばっているのですが、それでも5%は無理がある数値です。
4両以下で、かつ、勾配の距離が1m程度なら上ると思いますが、編成全体が5%の勾配区間に入りきってしまうような長い坂ではだめです。
それでは4%、3%と傾斜を緩くすればいいのかというと、そうでもありません。

傾斜率5%の勾配

緩和傾斜が必要

実際の鉄道もそうですが、いきなり坂になって登り始める訳ではありません。
緩和傾斜区間があり、坂の始めと終わりは徐々に坂道になっているのです。
模型では大きさが十分小さいので緩和することに意味があるのではなく、繋ぎ目で急激にレールが傾かないようにすることが大切です。
もし、坂の始まりを繋ぎ目にしてしまうと、極端な状態では図のようになります。

坂の上り始めが段になっている

普通の状態でもかっくんとしていたら、重さがある列車が通過すると、さらに極端にレールが曲がったりします。

この時、瞬間的にですが、とんでもない傾斜率になって列車に負荷がかかります。
カプラーが列車の上下動に対して弱い製品だったりすると解放してしまう車両が出たりします。
メルクリンでもHOの純正カプラーは上下動を考慮された作りになっているので大丈夫ですが、1番ゲージのアーノルドカプラーは全然だめです。私は1番ゲージで勾配で脱線した列車に体当たりをされて血が出たことがあります。模型と言えども大事故です。

ですので、板で滑らかに勾配を作ることが大事なのですが、板でなくても、何かの工夫をして坂の始めと終わりは、重さがかかってもスムーズに上るように設計しなくてはなりません。
ここは構造的な問題で、レイアウト完成後には修正できないので、最初からきちんと考えておく必要があります。

なめらかな坂を作ることが大事

傾斜率は一定にしない

レイアウト完成後に調整するのが、この部分です。
勾配の傾斜率ですが、一定にしない方がいいです。4%ならリニアにずっと4%の坂道を上るよりも、少しだけ5%で上がって3%に下げ、少し平坦になり、その後4%上ってまた平坦といった感じで、列車にかかる負荷を考慮して傾斜に差を付けます。
傾斜の設計にはある程度経験が必要ですので、試行錯誤が大切です。
しかし、原理的には次のような点に気をつけて調整すれば、ベストな状態を探せます。

なぜ一定にしてはいけないのかというと、列車にかかる負荷を考慮すべきだからです。
動力車の位置によりますが、5両以上の長い編成が坂を通過するときのことを考えます。

まず、編成の先頭部分が坂を上り始めます。
この時、列車の後部はまだ平坦線を走っているので、この両数分は勾配の負荷としてはかかっていません。
全体が15両の列車でも、先頭の4両しか坂に入っていないのなら4両分の負荷しかかからないということです。
ですので編成両数が十分少ないレイアウトでは、どの編成も負荷が低いまま坂道を通過できるので、多少きつくても問題ないのです。

坂にかかっている両数分が追加負荷になる

しかし、長大編成が存在する場合には、全然話が違ってきます。
編成長8両の列車がある場合、坂道の長さが8両全体の長さよりも短ければ、最大に負荷がかかる両数を計算できます。
仮に4両分の坂があったとすると、最大でも4両が登り切れれば坂は通過できます。5両目になった時には先頭の1両は坂を抜けていて平坦部を走っているからです。
図のような状態です。

坂が短い場合には問題ない

しかし、アルタイルハーミテージのように坂が長いと、編成全体が坂道に入りきってしまってもまだ坂が続くということになります。この時が大変です。
編成が長ければ長いほど、列車の負荷は大きくなります。
仮に15両が通過できるように考えても、17両繋いだらだめだったとなることもあります。編成の長さに制限ができてしまいます。どうすればいいのでしょうか。
そこで、傾斜率を変えるのです。

長い編成全体が一気に坂に入ると上れなくなる

例えば、13両編成で最大5両分の登坂能力がある機関車が牽引する列車を考えると、最初4%で4両分登り、その後4両分は平坦(0%)に戻します。そして再び1両分4%で上ります。
こうすると、長大編成でも全体が一気に下方向に引っ張られることはなくなります。途中の平坦区間が負荷を下げてくれるからです。
もちろん下方向には力はかかっていますが、平坦に入っている4両はリニアに下に引っ張るわけではないので、ベクトル的に分散されます。
13両の編成は、最大でも4両+平坦4両+1両+平坦4両に分割されて、勾配を上っていくことになります。
実際にやってみるとわかりますが、これでいままで上れなかった長大編成が、長い坂道を上れるようになります。

階段状にすれば上れる

カーブは平坦か緩やかにする

また、直線とカーブでは、列車にかかる負荷は全く違います。カーブを通過する時は列車には大きな負荷がかかります。
これも鉄道会社のイベントなどで実際の列車を押す機会があったらやってみるとわかりますが、直線では押せるのですが、カーブがあると数人で押さないと列車は進みません。

ものすごく巨大なレイアウトでもない限り、普通は勾配の途中には必ずカーブが存在します。曲りながら高さを稼ぐのが一般的だからです。
カーブの場合にはぶっちゃけ5%とかはありえません。平坦か2%以下にする方がいいです。
直線区間で一気に上り、カーブで緩やかに戻して、また直線で上る。これを繰り返していけば、かなり長い坂道でも登り切ることが出来ます。

直線とカーブでは傾斜率は変える

こうして考えてみると、市販の高架橋は設計上あまり良くないということがわかります。
メルクリンからも発売されていますが、市販の高架橋は意外と高さがある割に、傾斜率はけっこう急な数値で一定で上るように設計されています。それに必ずレールの繋ぎ目に高架橋の繋ぎ目もあります。
短い坂道なら上れますが、大きなレイアウトに市販品は通用しません。
ぐるぐるととぐろを巻いているような巨大なループなどは、かなり設計しないと難しいです。

HOでは十分無視できるので考えなくても良いのですが、1番ゲージになると、市販品の高架橋で坂を作ると高さ方向のズレが大きくなり、レイアウトプラン通りには線路は繋げなくなります。
要するにピタゴラスの定理で高さの分だけ横方向の距離が不足するため、非常に半端な数値の空間が空いてしまいレールは繋がらなくなります。最初から高さ分のズレを考慮したレイアウト設計が必要なのです。
※イベントで実際にそうなったことがあり非常に苦労しました。高架橋部分はねじ止めでずらせないため、前後のレールやジョイントの幅を何十本とずらして誤差を吸収したことがあります。

高架橋はスライドでずらせることが重要

試運転での調整は、すべての列車を何回も走らせながら、傾斜率を最適化していく作業です。
最初に短い編成を通過させて問題がないことを確認したら、長い編成を作ってテストします。

アルタイルハーミテージのように板の間に高架橋を挟んでおくと、簡単にずらせて無段階で傾斜率を調整できるので便利です。
このレイアウトの場合には、最初にやや急激に上り、カーブでは平坦にして、その後3%~4%で上っています。

高架橋を固定しないことで調整ができる 高架橋を固定しないことで調整ができる

試運転の時の注意事項としては、メルクリンの列車はすべて定速制御がかかっていることを念頭に置いて調整するということです。
定速制御とは、列車のデコーダーが常に指示された速度で走るようにモーターを自動で調整する機能のことです。
つまり上り坂では自動的にモーターの出力を上げて、下りでは下げて速度が一定になるように走っています。

ですので、メルクリンでは空転や上れないという現象は、本当に動力車の限界付近にならないと発生しないのです。
そこそこの編成数だと普通に上ってしまうことが多いので、モーターにとんでもない負荷がかかっている場合もあります。見た目だけではわからないので、何種類もの車両を走らせて動きをよく見て、どの列車も問題なく通過できるように調整しましょう。

アメリカ型の機関車などは見た目だけでなく、実力的にも何両もの車両を牽引できるようになっているものもあります(大きくて自重も相当ある)。
長大編成はパワーがある機関車に任せるといった運用上の想定も考慮しながら、調整することが大切です。

実際にきちんと上るのかどうか、アルタイルハーミテージで実験してみました。
64両編成という長い長い貨物列車を走らせてみました。
まったく問題なく通過できました。

現実的にはこんな長い列車は走らせないですが、これでも問題なければ、他のすべての列車は当然問題なく走れます。
ちなみに、当初は74両あったのですが、実験中に子供向けホビー用のおもちゃの貨車の連結器が折れてしまったので、その10両を減車しました。
メルクリンの場合には機関車よりも柔な連結器が先に壊れるくらいの牽引能力があるということです。

ポイントやセンサー、信号機の確認

勾配に問題がなければ、信号機やセンサーを設置していきます。
こちらは設置すればいいだけですので、比較的簡単です。配線もお座敷レイアウトと比較すると楽に引き回せます。

大型のレイアウトの場合には、レイアウト上にたくさんの列車を置いてみて、複数を走らせた状態でもしっかりと動作するかを確認します。

CS2は電力の出力量は十分ありすぎですが、デジタル信号がレイアウトの隅々まできちんと届くかというと、それは別問題になります。
レールの接触というよりは、レイアウトが巨大になったことによって純粋に伝達距離が伸びることと、多数の列車が走行することによって、列車が存在している区間では電圧が降下するため、状況によってはデジタル信号が届かない可能性があるからです。

ポイントが集中している部分や、信号機が多い部分は要チェックです。メルクリンの場合には信号機はストラクチャーではなく、列車を止める本物の制御機器ですので、誤作動は致命的です。
特にデジタル信号機は、レールから給電していると誤作動するケースがあります。この時にはデジタル信号機は別に直接給電するようにした方がいいでしょう。

デジタル信号の確実な伝達を目指すという意味では、フィーダー線を何カ所にも差してください。
これは電力というよりも、列車がどの位置にいてもデジタル信号を減衰させずに確実に伝えるためです。
メルクリンとしては、2mに1カ所はフィーダー線を繋ぐことを推奨しているようです。
ポイントや信号機が集中する場所には、すぐそばに何本かのフィーダー線を配線すると良いです。

フィーダー線は単純にCS2の元の線から分岐させればOKです。分岐用の分電器も販売されています。
デジタル信号を確実に各デコーダーに伝えることが目的ですので、レール以外に信号の通り道をバイパスすればいいのです。
フィーダー線を増やしたからといって、電力が過剰に消費されることはありませんので、固定レイアウトの場合にはどんどん増やしましょう。
アルタイルハーミテージでは、20本くらいは分岐して様々な場所にフィーダー線を差しています。2mに1カ所ほどではないですが、もう何年も誤作動したことはありません。

それから固定レイアウトの場合には、フィーダー線やセンサー線はハンダ付けした方がいいです。
長い間遊んでいるうちにコネクターが外れたりすると面倒ですし、なかなか原因に気がつけなかったりもします。